主張をしないわけ
信州戦争資料センターは「戦争をしたくない」の1点で活動しています。
このブログを書いているセンター代表も、今の世の中に対し、もちろん言いたいことはたくさんあります。今の世相に危機感を感じ、もっと直接的な声を上げたほうが良いのではないか、という思いにかられることもあります。
しかし、信州戦争資料センターの一番の仕事は、物言わぬ「モノ」に語らせることです。
戦争の時代に生まれ、今に生きる「モノ」が、何を訴えるのか、多くの人に耳を澄ませて聞いてほしい。
そのためには、余分な雑音は不要です。
人の心には「確証バイアス」という働きがあります。
「確証バイアス」とは、自分が信じていることは正しいと確認できる証拠だけを見つめ、間違っていることは無視する心の動きのことです。
戦争を語るモノを真摯に見つめてもらうには、そうした「確証バイアス」をできるだけ起こさせないようにするのが大事だと思っています。
代表が何等かの主張をすれば、代表に対するある種の思い込みが生じるでしょう。その思い込みが確証バイアスに引っかかれば、モノを見てもその視点でしか声を聴けなくなるでしょう。
それゆえ、信州戦争資料センターは主張せず、静かにモノに語らせる道を選んでいるのです。
どんな立場、どんな考えの方でもいい。当時のモノに向き合ってもらいたい。
そして、その姿から、今の時代に訴えかけられる声を静かに感じてほしい。
そうはいっても、ブログの端々に、代表の思いが含まれることもあります。でも、それは、主張というよりも、モノの理解を助ける踏み台ぐらいに思ってもらえればちょうどいいでしょう。
そして、一人一人が将来の社会をどうすればいいのか、できうれば「戦争をしない」ようにするにはどうすればいいか、考えていただければ幸いです。
ここに挙げた写真は、死んでもラッパを離さなかったという日清戦争当時の兵隊の話です。戦時中は美談として語られました。
しかし、美談として語られていることを、素直にその通りに受け止めていいのか。
兵隊が死んだという事実を直視すれば、もっと違う姿が見えてくるのではないでしょうか。
とすると、この「美談」を読んでも、戦争を賛美するという気持ちとは違う気持ちが生まれるのではないでしょうか。
そんな思いで、これからも収蔵品を紹介していきます。
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