昭和13年12月の松屋カタログーそろそろ戦争の影響が出ているものの、まだまだ華やか

信州戦争資料センター

2018年02月16日 21:00


 東京・銀座の百貨店「松屋」が昭和13年12月5日に発行したカタログ冊子です。A4判16ページで、表紙以外の15ページを通販商品の紹介にあてています。

 前半は着物。皮革の代用品や「国策繊維」使用の着物などは出てきていますが、こちらの新年を控えてのお正月用品のページはにぎやかです。塩カズノコの樽、小鯛の粕漬け、山海珍味などなど。甘い物もスペシャルチョコレート、羊かん、カステラ、ビスケット、甘栗と、なんでもござれ。

 昭和13年の暮れといえば、日中戦争の最中。10月末に武漢三鎮が陥落して大作戦は一通り終わったころですが、まだまだ帰国という感じではありません。そこで、前線兵士への慰問品にも1ページを割いています。

 純毛のチョッキ、勇士も思わず歓声を上げる「セーラー人形」、科学的新兵糧「熱糧食」、絹ふんどしなどなど。中には缶入りウイスキーなんかも。

 最後のページは、羽子板の特集です。

 ええっと、兵隊さんの似顔絵羽子板は、一応、役者さんのようですが、これは人気のほどはいかがでしたのでしょうか。濃い顔もかっこいいって、人気だったのでしょうか。

 昭和13年といえば、4月に国家総動員法が公布されています。6月には物資動員計画を閣議決定しており、綿製品、金属製品の生産規制が行われます。皮革やゴムも制限となり、代用品が登場しています。小規模小売業者や製造業者の廃業につながっていくのですが、銀座の松屋はまだまだ余裕があった雰囲気です。

 しかし、広大な中国戦線を維持するために日本の経済は次第に圧迫され、翌年には価格統制令が公布されるなど、大きく変貌していくことになります。

2018年2月16日 記

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