昭和10年ごろ、長野県飯山町で「時局極めて重大なとき」に当たって開いた衛生大展覧会の目玉は約70キロの「大キンタマ」
「非常時に備ふる国民の保健擁護」と強調された「下水内郡連合衛生大展覧会」のチラシです。「非常時」という言葉がよく使われた昭和10年前後の催しと推定されます。
お産、育児、病気のことがクワシクわかるという触れ込み。大日本衛生普及会主催で、長野県や飯山町の警察署、役場などが後援しています。
「今や我国内外の時局極めて重大なるときに当たり、協力一致国民の健康増進に一路邁進しもって保健報国の実を挙げ君国に奉ずるこそ刻下の急務なりと思料しここに衛生展覧会を開催す」ー。いやあ、健康や衛生意識の普及にまで「時局重大」「協力一致」「保健報国」で「君国に奉ずる」とか、権威に頼りすぎでしょ。もっとこう、一人ひとりに自主的な健康増進を呼び掛けることはできないものかと思ってしまいます。これだけ高い理想をぶち上げたなら、きっと高邁な内容なんでしょう。
会場には、妊娠出産や「内臓と酒害」、「性病(花柳病)」といった「精巧なる模型」に加え、各地の病院から集めた実物や写真の展示があるようです。
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「十八貫目の大陰嚢(キンタマ)」 鹿児島市は赤星病院からの実物展示で、実に重さ約70キロ、フィラリア病による「大キンタマ」をまっさきに掲げました。胎児の標本とか乳がんと子宮がんとか、まずまずまともなものもありますが、
とにかく「大キンタマ」が目玉です。
ほかにも、乳首が4つある女性の写真とか、なんか、怖いもの見たさに来てくださいーという感がありありとしまして、これで
「君国に奉ずる」とか、ちょっとないかなと。会費も大人10銭とかありますし。国家的事業の雰囲気を漂わせる言葉を躍らせとけばいいんだという、一種甘えのようなものがありありと感じられてしまうのです。
2018年3月27日 記
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