桜の下で3月に送られた兵士は5月、最前線に立っておりました―節句人形に見る戦時
昭和13年3月の桃の節句。
女子青年団が桜の下で出征兵士を見送りました。そして5月…
最前線で活動しておりました。
桃の節句用に作った「事変びな」がそこそこ当たったため、男の子の成長を祝う同じ年の5月の節句向けに作られた人形とみられます。
刀は、いかにもひな人形の流用とみられます。残念ながら固定されており、抜いて持たせることはできません。
ケースの背景は、いかにも中国の城壁で、日中戦争を題材としていることは明白です。
鉄条網にゲートルと、芸が細かいです。弾薬ごうもつけて歩兵を表現しているので、本来なら小銃を持たせるべきところですが、手間を惜しんだのでしょうか。ほかにも、砲撃場面を再現した豪華版や、騎馬の兵士の人形も存在を確認しています。
「立派な兵隊さんになる」が当たり前だった時代。しかし、将来の夢を語る場に、死と隣り合わせの兵隊の人形。どこか不安げな表情と見えてしまうのです。二度と、こんな人形がお祝いに並ぶのが当たり前、の時代に戻ってほしくありません。
こちらの人形は、2017年12月2日からの
元ゼロ戦パイロット原田要さんの映画アンコール上映に合わせて、長野市の映画館相生座で展示しました。またどこかでお目にかけたいと思っています!
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