書道の練習に紙は不要-実は現代にも復活している再生可能な練習帳

 日中戦争が始まって2年、3年とするうちに、さまざまな物資が不足してきます。紙もその一つ。戦略物資を優先して輸入するため、限られた船舶では紙の原料を輸入する余力がなく、生産を減らすしかありませんでした。当時の新聞なんかは、戦争で紙面はほしいし購読者は増えるのに紙が抑制されて仕方なく減ページ。その結果、必要最低限のことしか載らない、大変つまらない紙面となっていきます。

 そして、文房具の世界にも押し寄せた紙不足。

 でも、紙の心配をせず、ぞんぶんに練習できる画期的商品が登場します。 

水書習字練習帳

 きれいな筆に水をふくませ、この習字帳に書くと、黒々とした文字が浮かぶというもの。


 かわけば文字が消え、何度でも使用可能という、万年練習帳。昭和16年3月の信濃毎日新聞に、別の会社ですが、同様の製品の広告がありました。「不良品にご注意」とあり、さまざまな会社が同様の商品を発売したとみられます。

 もっとも、戦争末期にはついに学校の授業停止、全員勤労奉仕、となってしまうのですが。

 そして最近、行きつけの文房具店で同様の品を発見! 時空を超えて、物不足克服の精神が受け継がれていました。

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2016年04月01日 Posted by 信州戦争資料センター at 21:15収蔵品