戦時下の雰囲気を盛り上げた民間の広告類―抜け道探しと便乗と

 長野市で2018年3月3-4日に開く「全国ボランティアコーディネーター研究集会2018」の分科会で使うパネルの作成を続けています。戦時下の情報媒体のうち、本日は民間の広告類を2枚のパネルにまとめました。
戦時下の雰囲気を盛り上げた民間の広告類―抜け道探しと便乗と

 1枚目。右肩の派手なチラシは、昭和10年ごろの長野県鬼無里村(現・長野市)にあった恵比寿屋の引き札です。
戦時下の雰囲気を盛り上げた民間の広告類―抜け道探しと便乗と

 ほかに、日中戦争当時の信州銀行の愛国定期預金チラシ、昭和14年の八十二銀行パンフ(一億一心百億貯蓄の懸垂幕を描いた社屋)、昭和17年の安田生命チラシ(空襲なんぞ恐るべき)、昭和15年の上田漢口ニュース(スキーと兵隊)、日中戦争当時の飯田市の菓子店「長寿堂」のチラシ(製菓奉国 出征兵士の慰問は大奉仕)、昭和13年のライオン歯磨きのラジオ体操参加表(健康報国 国民精神総動員)、昭和17年末―昭和18年ごろの薬の広告(標語 今日も決戦、明日も決戦)、の計8点。

 2枚目。「トイシも兵器だ!」のキャッチコピーが躍る広告ポスターを据えました。
戦時下の雰囲気を盛り上げた民間の広告類―抜け道探しと便乗と

 ほかに、昭和16年3月の薬の販促カレンダー(上諏訪町の薬局 健康報国)、日中戦争当時の長野電鉄のチラシ(銃後は強く朗らかに 武運長久祈願に)、日中戦争当時の菅平高原のスキー宣伝チラシ(すぐに役立つ銃後のスポーツ)、昭和12年9月のわかもと報国特売(空き箱回収で弾丸献納)、安田銀行長野支店の昭和11年と17年の案内パンフ、の計7点。

 これらが街中に出回っていたらと考えると、どうでしょう。いやでも戦争に協力する雰囲気が高まってくるのではないでしょうか。そこまでいかなくても、常に戦争のことが意識される生活になるでしょう。

 そして「愛国」「報国」「銃後」といったキーワードが巧みに取り込まれて、宣伝に使われています。売り込みの手段ではありますが、こうした言葉が目から意識へとすり込まれていったことでしょう。気を付けねばならないのは、これらがすべて民間の自主的な取り組みであったということです。

2018年2月27日 記

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2018年02月27日 Posted by信州戦争資料センター at 23:10 │イベント報告