今も続く日露戦争の黄金伝説―韓国企業が投資詐欺疑い―ドンスコイの金塊担保に仮想通貨発行計画
日露戦争の山場、明治38年5月の日本海海戦。ロシアのバルチック艦隊が日本の連合艦隊に壊滅させられたこの海戦には、黄金伝説が付きまとってきました。2018年8月8日の信濃毎日新聞に、韓国企業が投資詐欺疑いで捜索を受けたとの記事があったのですが、これがその財宝関連。記事によると、巡洋艦ドミトリー・ドンスコイが韓国領海で見つかり、巨額の金貨や金塊があるとのうわさがあったことから「財宝船」と騒がれていたと。この船を見つけた会社が、金塊を担保に仮想通貨を発行する投資金を集めたのが詐欺の容疑だとのことでした。
バルチック艦隊にまつわる財宝騒ぎは、古くからあります。日本では昭和7年にニューヨークタイムスが巡洋艦ナヒモフを「金貨を満載した艦隊の会計艦だった」と報じたのを機に、さまざまなナヒモフ号引き揚げ団体が生まれ、それぞれが出資金を集めて金塊引き揚げに乗り出す騒ぎに。翌年1月にはナヒモフ号発見となるものの、9月には早くも横領事件で捜査を受けたりしています。
こちらは、少なくとも昭和10年末まで存続した「ナヒモフ号積載金貨引揚後援会」の報告書や事業継続費用の振込用紙などです。
報告によると、なぜか昭和8年にはほとんど何もせず、昭和9年は悪天候などで手つかず。ようやく10年になって艦体に入ることができ船体の一部を引き上げたものの、財宝確認はできずでした。そして資金を使い果たしているので、さらに出資をとの手紙でした(この手紙を受け取った人はここであきらめた、というわけですね)。
ほかにも戦艦スワロフ、巡洋艦リューリック、輸送船イルティッシュと、さまざまな艦名が出ては夢だけ掻き立てていました。昭和55年には笹川良一氏が30億円を出してナヒモフ号の金塊探しをやりましたが、これもうまくいかなかったようです。
それにしても、確認できない話はうそだと思えても否定はできないという、人間の心理をうまく突く話です。最近も山下財宝をフィリピンで探していて捕まった話もありましたしね。それにしても、沈没艦の金塊と仮想通貨という組合せ。そこに「ある」と信じることだけが存在を支えているという意味で、なかなかよくできた話。庶民には、夢は夢のままが良いようです。
2018年8月8日 記
※このブログのコンテンツを整理したポータルサイト信州戦争資料センターもご利用ください。
バルチック艦隊にまつわる財宝騒ぎは、古くからあります。日本では昭和7年にニューヨークタイムスが巡洋艦ナヒモフを「金貨を満載した艦隊の会計艦だった」と報じたのを機に、さまざまなナヒモフ号引き揚げ団体が生まれ、それぞれが出資金を集めて金塊引き揚げに乗り出す騒ぎに。翌年1月にはナヒモフ号発見となるものの、9月には早くも横領事件で捜査を受けたりしています。
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日清戦争中のおもちゃ店は、やはり軍事関連が人気
徴兵は戦時下でも個々の事情に関係なく一兵卒扱い―総力戦の理解もなかった杓子定規の制度
それぞれの10月16日―同じ日付の収蔵品を並べ、大正5年から昭和21年までの戦争を挟んだ世の流れを実感
戦時下、いろんな貯蓄がありましたが「一機一艦一銭貯金―戦果発表記念貯金」とは。戦果に連動して貯金額が決まりますが…
昭和14年5月に始まった廃品回収、同年10月にあらゆる値段を固定する9・18ストップ令で1年後にはとんでもない状態に
「こんなのもあるんだよ」「いただいていいですか」「それはだめー」―でも、終戦直後の軍放出品をいただきました!
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