戦前の日本観光連盟は、観光によって「大君の御盾」となる心をみがけと宣伝―ゆっくり休むのは罪悪のルーツか

 今回入手した日本観光連盟のステッカー。文面から間違いなく戦前のもので、健兵健民運動が盛り上がった昭和15年ごろに作られたのではないかと推定されます。
戦前の日本観光連盟は、観光によって「大君の御盾」となる心をみがけと宣伝―ゆっくり休むのは罪悪のルーツか

 7・5調のリズム感がうまい、ということは認めてもいいでしょう。しかし前段の「つくれ同胞良い体」、「みがけ御盾となる心」という後段の文。せっかく休養や観光に行くのに、体を鍛えたり大君への忠誠を確認したりせないかんのか? ゆっくり休養して遊んで次に備えると、なんで素直に言えないのか?

 休まず何かをすることが、とてつもなく価値があるとする思い込み。その時流に載せていくための表現。戦前の資料集めていると、そんなんばっかりでいやになります。そして、この、なんでもいいから鍛えなさいという風潮、今もごっそりと残っていませんか。江戸時代の人たちのほうが、もっと時間をうまく使って豊かな生活をしていたのでは。

 「遊びをせんとや 生まれけむ」

 この言葉を失った社会に、活力は期待できませんよね。

2018年5月12日 記

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2018年05月12日 Posted by信州戦争資料センター at 20:51 │収蔵品